ぶんぼっぽの日記

よんでくれ

映画「ポゼッション」

 昔、なんとなく見ていたツイッターの動画で流れてきた、イザベルアジャーニ地下道のような場所で発狂する場面。白い牛乳をぶちまけ、体をくねらせ叫びまくる彼女の姿を、その投稿では「狂気の演技」と評していた。映画「ポゼッション」を知ったのはその時だった。

 この映画は件のツイッター動画のいう通り、アジャーニの狂気演技を見るためにあるようなものだ。そういっていいくらい、本物としか言えないような狂い方をしている。

 狂気を表現したい場合、日本だと「ヒャッハー」と高笑いしながら殺人を繰り返す、みたいな派手な狂気の演技が多い。少しチープにも見える表現ともいえる。

 アジャーニも、先述の牛乳ぶちまけのように、ものすごく派手な演技をする。しかし、本気としか思えない目つきをするものだから、その表情で観客を納得させてしまうのだ。血を流しながらうつろに街を歩く時のアジャーニのあの目!どうかしてしまっている。

 意外だったのは、アジャーニが孤独に狂っていく映画なのかと思ったら夫もともに狂っていくのである。お互い狂っていくのは同じだが、夫のそれはアジャーニよりどこか地に足ついた感じもして(アジャーニはヒステリックな感じもあったが、夫は計画的に人を殺す)差別化された狂気を見ることができる。

 この映画は結構演技が面白く、共起に陥る二人以外にもアジャーニの浮気相手がダンスするように会話したり、謎の拳法を披露したりとどの人もいい演技だった。